尾張屋の工夫
長方形の切絵図にはタテ・ヨコの比が約1対2に近いのがあります。それは、近江屋板の正方形2図分の地域を長方形1枚で見られるようにした尾張屋の工夫です。
例えば本所・深川地域を、近江屋板は「本所猿江亀戸辺図」「北本所中ノ郷石原辺図」「南本所竪川辺図」「深川之内小名木川ヨリ南之方一円」の正方形4図にしていますが、尾張屋は740×540mmの大判タテ長方形で「本所絵図」「深川絵図」の2図に収めています。
また、尾張屋板で最も大判の「下谷絵図」では、近江屋板の「外神田下谷辺絵図」「上野下谷辺絵図」を1枚に収め、神田川沿いの町屋地区から上野の寺院群までが一目で俯瞰出来るように工夫されています。
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5種類のサイズには5通りの折り方が
尾張屋の江戸切絵図は、すべてタテ167×ヨコ95mmに折りたたまれ、深川鼠色の厚表紙を表裏両面に貼り付けて販売されました。
サイズの違う5種類の絵図を同寸に折りたたむには5通りの折り方があり、表紙の貼り位置も5通りになります。
弊社の復刻版は、絵図はすべて原図と同じサイズで印刷し、折り方、表紙の貼り位置も原図どおりに仕上げました。上図をクリックしてご参照ください。
切絵図の台紙は和紙を貼り合わせています。正方形型は2~3枚、長方形型は2~4枚で、和紙を無駄なく利用しています。1枚ものは無いようです。32図画像一覧
文責・岩橋美術 岩橋文武 2014ⓒ
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